殺戮都市~バベル~

「来るぞ!全力で走れ!!」


内藤さんがナイトを引き付けてくれた。


いや、これじゃあ俺達が騙したようなものだ。


「恵梨香さん!あれはあまりにも……」


「私は何一つ嘘は言っていない!それに、内藤が死ぬ寸前、恨み言を言っていたか!?違うだろ!」


確かに、恨み言は言っていなかったけど……。


こんな事を考えていても、ナイトの事を教えなかった俺も同罪だ。


恵梨香さんだけを責める事は出来ない。


心のどこかで、内藤さんが囮になってくれたらと望んでいたんだろうな、俺も。


大切な人を守りたい。


そう思った俺の中で、内藤さんはまだ大切な人にはなっていなかった。


なんて言うのは卑怯だよな。


ダメだとわかっていて、逃げもせずにナイトを引き付けてくれたんだから、それを無駄にしてはいけない。


「悩め悩め!そうやって、この街で生きるにはどうすれば良いかを考えるんだ!」


恵梨香さんは、そうして生きてきたんだろうな。


東軍に行くという目的を前に、それが正しい事なのかどうか、俺にはわからない。


光の壁の切れ目に到達して、すぐさま東軍の方に進路を変えた俺の目に、間近に迫ったナイトの姿が見えた。