殺戮都市~バベル~

さっきの動きを捉えられなかったやつらが、俺と吹雪さんに追い付けるはずがない。


「吹雪さん、またビルの屋上を飛んで逃げたら良いんじゃないですかね!?」


「ダメダメ!西軍はさ、南軍と違って高低差がある建物が多いから、あっという間に身動きが取れなくなっちゃうよ!このまま走った方が良いね」


俺の提案をあっさりと否定して、吹雪さんは地上を行く事を勧める。


確かに、高低差というのは厄介な物だ。


ビルとビルを飛んでいてわかった事だけど、俺のジャンプは、距離だけ飛躍的に伸びてはいるけど、高さは変わっていない。


つまり、低いビルから高いビルへと飛び移る事は出来ないのだ。


「でも、思ったより余裕ですね。これなら沼沢の所に着くまでに、大した消耗はないかもしれません」


「……そうだと良いんだけどね」


いつもは無駄に明るい吹雪さんの声が暗い。


無駄な戦闘を避ける為に、大通りから外れて路地を走る。


全員通信で呼び掛けがあったものの……人通りは少なくて。


たった一人の敵を殺す為に、わざわざ出て来るやつは、そうはいないという事だろうな。


街の景色が、高層ビル群から工場地帯へと変わって行く。


沼沢がいる場所に近付いたという事か。


と、周囲を見回してそんな事を考えていた時だった。


前方に……俺達を凝視している男がいたのだ。