殺戮都市~バベル~

奈央さんを救出する……その思いで西軍にやって来たけど、小さな流れは突如、西軍対俺達という激流へと変化した。


しばらくはステルスで誤魔化せる……なんて考えていたけど、「死神」の知名度が恐ろしく高く、姿を見られてすぐに、俺達は西軍のやつらに取り囲まれたのだ。


「やれやれ……雑兵など相手にしてもつまらんからな。私は先に行ってるぞ」


そう言い、屈んで足に力を溜めた恵梨香さんは華麗に宙を舞って、取り囲んだ人達の頭上を越えて行ったのだ。


「お、おい!死神が逃げたぞ!?」


「放っておけよ!あんなのと戦うつもりかよ!」


「まだ二人残ってんだ、こっちをやるぞ!」


早くもピンチ……か?


取り囲まれる前に、西軍である雪子さんと三葉さんは俺達から離れて、人の輪の中にいるのは俺と吹雪さんだけ。


あの時と……ビルの前に人が集まって、俺が戦っていた時と同じか。


ここでやられるようなら、沼沢に勝つなんてとても無理だ。


「困ったねえ……全員殺しても良いんだけどさ、時間と体力が勿体無いよね」


俺と、ピタリと背中を合わせて武器を構える吹雪さんが呟いた。


「じゃあどうします?恵梨香さんみたいにここから逃げますか?」


脱出するという、吹雪さんの意見には賛成だ。


沼沢の所に着くまでに、余計な体力も時間も費やしたくなかったから。