殺戮都市~バベル~

「そんなわけで、私達はここを抜けて西軍に入る。私達は手を貸さんからな、降り掛かる火の粉は自分の手で払い除けろ」


そう言われて……俺は何も返事が出来なかった。


だってそうだろ?


俺が最後にポーンと戦ったのは、西軍に行った時で、あの時は五人がかりでやっと追い払えたんだ。


あれから一度も戦っていない。


少しは強くなったとはいえ、今の俺の力でポーンを退ける事が出来るのか……。


悩んでいる俺を気にも留めず、恵梨香さんと吹雪さんはビルの中に入って行く。


あんな大量のポーンを目の当たりにして、覚悟も出来ないままに二人に付いて屋内へと入る。


階段を下りながら、過去のポーンとの戦いを振り返る。


最初は、傷を付ける事すら出来ずに、脇腹を食い千切られた。


次は、五人で戦って追い払えただけ……。


あれから少し強くなったと考えても一人でポーンを倒すというのは、どう考えても辛いぞ。


「どうした?ポーンを見て臆したか?何もポーンに勝てと言っているわけではない。死なずに西軍に辿り着けと言っているんだ」


……簡単に言ってくれるよな。


それが出来るかどうかもわからないから不安なのに……恵梨香さんくらい強い人には、この気持ちはわからないんだろうな。