殺戮都市~バベル~

これは罠かもしれない。


そう思って相手の出方を見ていると……向かい合って話していた中で、ヒゲを生やした大柄の大剣の男がこちらを向いて指差して見せた。


「よし、今回は洗浄日だからこれ以上やるのはやめてやる。命拾いしたな」


予想していた言葉とは違う、実にあっさりとした引き際。


拍子抜けする返事に、俺は思わず尋ねてしまった。


「た、戦わないのか!?俺を殺すつもりで掛かって来たんだろ!?」


「勘違いするんじゃねえよ。俺達は帰る途中にお前がいたからついでに殺そうとしただけだ。『ついで』がバカみたいに強いんじゃ、割に合わねえだろ」


人それぞれの考えはあるけど、こんなにあっさりと引き下がるやつらは初めてだ。


それも、味方は誰も怪我をしていないのに。


「まあ、今のお前より俺達の方が強いから、強引に押し切れるだろうがな。でも俺達は殺人鬼じゃねえ。何がなんでも殺したいとか思ってるわけじゃねぇしな」


短剣の男が、ニッと笑顔を浮かべて話す。


「まあ、そういうこった。俺もお前も、所属する軍が違ったから殺し合うだけで、元の世界じゃあ殺し合う必要すらないわけだからな。俺達は、必要だから殺し合うだけだ。必要じゃない戦いなんて、やっても無駄だろ?」