殺戮都市~バベル~

「うう……ん……」


俺の後ろで理沙が唸る。


戦闘で負傷して、理沙を回復させる為にここに来たのか。


そして、逃げ込んだ所を南軍の誰かに見られて、戦闘になったのだろう。


その物音が、このホテルの前を歩いていた俺に聞こえた……と。


はぁ……どうして会いたくなかった人に会うかな。


いや、それは会えるなら会いたいよ?


でも、この街でじゃない。


元の世界で、理沙の顔を見ているだけで幸せになれるのに。


今は……違う。


東軍と南軍、敵同士で出会うなんて望んでなんていなかった。


考えるなと言われたけど、さっきの二人は、理沙を守る為にいたんだな。


何してるんだろう……俺は。


「う……ん。あ……あれ?真治がいる。あはっ、夢だったんだ。良かった」


目を覚ました理沙が、嬉しそうな声を出して、俺の手を握った。


夢を見ていたのか。


そして、この街での出来事も夢だと思っていたのかな。


「夢って……殺し合いをする夢?」


握られた手を上げて、腕の光を見せた。


理沙は青、俺は赤。


二人の腕の色の違いが、それぞれの立場の違いを示しているようで、何だか切なくなった。