高層ビルの上層階。


眼下に、このビルに迫るほどの建物が立ち並び、車の通りがない道路が見える。


いや……問題はそこじゃない。


そんな発展している街を分断するように、高い光の壁が存在していたのだ。


「う、嘘だろ……あの声が言ってた事は本当だったのか?」


慌ててポケットに手を入れ、あの声の主から渡された物を確認する。


コツンと右手の指先に何かが当たった。


それを掴んで取り出すと……俺のスマホじゃない、PBMと呼んでいた端末が姿を現したのだ。


「ゆ、夢じゃない……だったらなんで俺は生きてるんだ」


確かにあの時、化け物に脇腹を食いちぎられて、ライダースーツの女性にナイフで刺されたはずなのに。


そうなる前と、俺に何も変化はない。


変わったとすれば……PBMの右上の表示。


あの女性がソウルと呼んでいた物の数が、「4」に変化していたのだ。


一つ減っている。


……何がどうなっているんだよ。


急に色んな事が起こりすぎて、頭がついて行かない。


とりあえず……この部屋から出ないと。


そう思って振り返った時、ゴトンと、足元で何かが転がる音が聞こえた。