その代わり、地面に叩き付けられた背中が激しく痛む。


苦痛に顔を歪めながらも、左手のトンファーの動きを先読みして日本刀を構えた。


直後、左のトンファーの一撃が刃を震わせる。


やっぱり……速い!


先読みしても、防御出来るギリギリの速度。


防御した反動で、身体が弾かれて地面をゴロゴロと転がった。


「ハァ……ハァ……な、なんて強さだよ……」


素早く体勢を整えないと……と、立ち上がろうとするけど、さっきの一撃で思うように身体が動かない。


フラフラしながら起き上がるのを、死神は何もせずに見ているだけで……武器のレアリティでは俺の方が上なのに、これほどまでに力の差があるかと絶望を感じる。


「確かに強くなった。しかし、その程度の力で誰かを守り切れるほど、この街は甘くないぞ。自分の意見を通したければ、力を見せるしかないぞ」


俺は……この人に勝てない。


頭の中が、その考えに支配され始める。


弱い者に強くて、強い者には弱い……。


変わったつもりでも、困難から逃げ出したいという気持ちは変わらず残っていた。


逃げたいと思わなくなったわけじゃない……ほんの少し強くなって、逃げる必要がなかっただけなのだと、死神を前にしてやっと理解出来た。