肉が、骨が、牙で引き裂かれて行くのがわかる。


その激痛の中、黒い人影がこちらに向かって駆け寄って、怪物に向かって飛び上がった。


そこからは一瞬。


手にしたトンファーをクルクルと手の中で回して、化け物の頭部に一撃を食らわせたのだ。


バキッと、骨が砕ける音が聞こえて……その衝撃で、俺の脇腹が食いちぎられた。


「ぎゃああああああああっ!!」


化け物の腕と口から開放された俺は、ドサッと地面に落ちて、その衝撃で身動きが全く取れなくなってしまったのだ。









あ……ダメだ。


もう身体が動かない。


何なんだよこれ……何でこんな事になったんだよ。


わけがわからないまま、化け物に食われて、死を迎えようとしている。


化け物は頭部が叩き潰されて、音を立てて地面に倒れた。


この化け物を倒すなんて、この人は一体……。


出来れば、もっと早く倒して欲しかったな。


そんな事を考えていると、黒いライダースーツに、ドクロの絵が描いてあるフルフェイスのヘルメットを被った人が俺に歩み寄ったのだ。


「……残念だが致命傷だな。自然回復も追い付くまい。おい、まだソウルは残ってるか?」


ソウル……?


ああ、ガチャを引くのに使ったやつか。


俺が、その言葉に頷いた次の瞬間。







「そうか、じゃあ殺してやる」







声から女性だとわかるその人物は、ナイフを取り出して、俺の右目をそれで貫いた。


何が起こったのかわからないまま……俺は死んで、光の粒へと変わった。