殺戮都市~バベル~

「だったらどうすれば。この人達を……新崎さんをこのままにはしたくないです」


引き上げた所で、連れて行けるわけでもない。


ここに置いておくしかないのだけど。


「死んだ人は忘れなさい……って言いたいけど、少年には無理だろうなあ。でも今はダメ。後でここに戻って来て手伝うから、早く逃げるよ」


多くの人が俺に殺意を向ける中で、吹雪さんの目はあまりにも真っ直ぐで澄んでいた。


人の嘘なんて見抜けない俺でも、吹雪さんが嘘をついていないという事がわかるくらいに。


「わ、わかりました。でも、約束してください。絶対に手伝ってくださいよ」


「うん、大丈夫大丈夫」


殺伐とした雰囲気に似つかわしくない、満面の笑みを返す。


「新崎さん、すみません。少しだけ待っててください」


ボソッとそう呟いて、俺は柵を乗り越えた。


この街に来て、色々教えてもらったとはいえ、一緒にいる時間自体は短かった。


悲しいのに涙も出ないのは……その為か。


悲しみよりも、怒りの方が大きくてまだ涙が出ないだけなのかな。


「階段からは無理だから、私がやったみたいに隣のビルに飛び移るよ。ここから離れて、適当なビルから下に行こうか」