「何言ってんだ!テメェ!」
「お前が死ね!」
「殺すぞコラァッ!!」
下から、俺に対する怒りの声が返って来る。
怒りに怒りを、憎しみに憎しみをぶつけても、結果は悲しいだけかもしれない。
俺の必死の叫びは、誰にも理解してもらえなかった。
全身を刺すような殺意が俺に向けられて、今にも襲い掛かって来そうだ。
「何もそんな事しなくても。でも、少年の気持ちはわかったよ。いつまでもそんな所にいないで、早く逃げなきゃ皆が集まって来るよ」
興奮状態の俺の腕を、柵越しに引っ張って吹雪さんはそう言った。
怒りは鎮まらない。
だけど、ここで何を言おうと、何も変わらないという事は、この人達を見ていればわかった。
「吹雪さん、ここに吊るされた人達を上げてあげたいんですけど、手伝ってもらえますか?」
「ダメダメ、言ったでしょ?少年を殺そうとするやつらが集まる前に、ここから逃げるんだよ」
じゃあ……殺された人達はこんな所で晒し者にされる事になるのかよ。
吹雪さんは敵軍の人間だ。
だけど、言ってる事は間違っているとは思えない。
自軍の人間よりも、他軍の人間の方が信用出来るなんて皮肉なものだ。



