殺戮都市~バベル~

「くっそ!くそくそくそっ!!何なんだよあれは!俺の偽者が調子に乗ってんじゃねえぞ!」


現れるなり怒鳴り散らして、道路を蹴飛ばして見せる鬼頭。


「ね、ねえ……あいつと一緒に行くわけ?」


明美さんのその声が聞こえたのか、鬼頭が俺達の方に顔を向けた。


「ああ?どこに行ったかと思ったら、てめぇら、こんな所にいたのかよ!」


街灯に照らされて、血で真っ赤に染まった鬼頭の顔が浮かび上がる。


でも、明美さんと同じように、どこも怪我はしていないようで。


「し、知らないわよ!私達が逃げたわけじゃないのに、なんで怒られなきゃならないのよ!」


「あぁん?なんだその口の聞き方は!!調子に乗ってっと風呂に沈めるぞコラ!」


怒りを明美さんに向け、怒鳴り声を上げた鬼頭。


「ま、まあまあ……二人とも。喧嘩をしても何も始まらないし……」


二人から少し離れて、何とか喧嘩にならないようになだめようと、鬼頭の方をチラリと見た時。












高架の下、少し暗くなっているその場所で、大きな何かがゆらりと動いたような気がした。


「てめぇは黙ってろ!この女の後にぶっ殺してやるからよ!」


「何よ!殺せるものなら殺してみなさいよ!!」


背を向けている鬼頭は当然ながら、明美さんもその影には気付いていないようだ。