「な、なんだよこれ……範囲狭いな!吹雪さんが死神を探せないはずだよ……」


何をするにしても、ここにいては始まらない。


強くなるにしても、奈央さんを助けに行くにしても、動かなければ何もしないのと同じだ。


……俺、いつからこんな考えに変わったのかな。


面倒な事からはすぐに逃げ出して、正面から立ち向かうなんてしてこなかった俺が、必死に頭を働かせて戦う事を考えている。


この街で出会った人達に、好戦的な人が多かったからなのか……いや、違うな。









奈央さんを、誰にも取られたくないと思ってるんだ。









戦い方を、生き方を教えてくれたというのもあるけど、一緒にいた時間が長かったからか、いないのが寂しいというか……なんだろう、この気持ちは。


とにかく、外に出よう。


入り口の方に歩いて、ドアを開けて廊下に出た。


シンと静まり返った廊下を、階段を歩いて、ビルから出ようとした時だった。


キィィ……と、ビルのドアが開いて、やけにやつれた新崎さんが、コンビニ袋を手にぶら下げて入って来たのだ。


「……あ、し、真治君!?三日も帰って来ずに、何をしていたんだ!?」