殺戮都市~バベル~

人を殺す事に抵抗がなくなったわけじゃない。


人を殺すなんて嫌だけど、俺に死ぬなと言ってくれた人がいる。


俺なら、この状況を切り抜けられると信じてくれた人がいる。


そして、俺がやらなきゃ守れない人がいるから。


振るう刃に迷いはなくなった。


ひと振りで三人、胸から上が斬られて、ドサリと地面に崩れ落ちる。


この、肌を切り裂くような緊張感の中で、感覚が研ぎ澄まされているのか、人の動きが見える。


スローモーション……とまではいかないけど、相手の出方を見てから動ける程度には。


「へぇ、やるじゃない。でも、どうしてここまでやれるのに、仲間を守れなかったかね?」


雪子さんが言った言葉は、俺の耳には届いていなかった。


ただ、ひたすら目の前の敵を斬って、俺に意識を向けさせる事で、奈央さんを助ける事が出来ると理解していたから。


「くそっ!こいつ強いっ!!誰だよ、この人数なら勝てるって言ったやつは!!」


「口を動かしてる暇があったら戦え!!遠距離のやつらは何してんだよ!?」


10人近く斬った辺りから、場が混乱し始めた。


俺の前にいるやつらは後退し、背後にいるやつらが距離を詰める。


それにしても、どうして俺はここまで戦えるようになったのだろう。