殺戮都市~バベル~

大通り……というには細い道だった。


それでも、自動車がすれ違えるくらいの道幅はある。


そこに飛び出した俺達の目に映ったのは……。


「こ、これは……」


光の粒に変わり始める死体、今死んだばかりであろう、噛み砕かれた頭部の虚ろな瞳。


そして……今まさに、頭部を食われて、声を出せなくなった女性がいたのだ。


「おおっと……これはこれは。またとんでもないやつがいたもんだ」


強気な発言をしていた内藤さんの声が、少し震えていた。


そう、俺はこの化け物を知っている。


忘れるはずがない。


犬のような、狼のような人型の化け物……ポーンを。


「あ、ああ……た……たすけ……」


思わぬ遭遇で腰を抜かしたのか、道の脇には女性が一人。


そして、俺達の背後に呆然と立ち尽くす女性が一人いる。


手首の色は……黄色!


どちらも西軍の人だ。


最悪だな……前にはポーン、後ろには西軍の人。


「ヘイ!レディ達!俺達に手を貸せ!倒せないにしても、こいつを追い払うぞ!」


内藤さんの声に、ビクンと震え、我に返る二人の女性。


「追い払うって……こいつ、めちゃくちゃ強いですよ!?出来るんですか!?」


一度食われた恐怖が俺を襲う。


それでも日本刀を抜いて、食事中のポーンに向けて尋ねた。


「出来るか……じゃない!やらないと俺達もこいつの餌だぞ!!」