殺戮都市~バベル~

クイーンが言うには、完全な力を手に入れた俺が、次の主になる権利があるらしい。


そうやって、ずっと途切れる事なくこの世界を継続させて来たようで、今の主も、以前にクイーンを倒した人物だったという事だ。


一人が街に残って主になれば、他の人間は元の世界に戻される。


命を落として、この世界に囚われた魂も、元の世界に戻ると言うのだ。


「まだこの世界の主になる決意は固まりませんか?今の主の力も、徐々に失われ始めております。早めの決断をお願い致します」


「徐々にって事は、まだ大丈夫なんだろ?だったらもう少し、好きにさせてくれよ。どうせ逃げられないし、死ねないんだから」


「わかりました。それでは失礼します。御用がある時はお呼びください」


そう言って、クイーンは姿を消した。


主と二人だけの塔の頂上。


街を見下ろすと、クイーンが言ったように、主の力が失われ始めているのか、街の一部が崩れ落ちて、いびつな形になっていた。


俺は、皆に助けられてここまでやって来られた。


だから、俺の選択一つで助けられるのならと、最後の選択肢を選んだけど……寂しい。


光り輝く街の、どこを見ても俺が知っている人達はいなくて。


元の世界に戻れたであろう、大切な人達の事をいつも考えていた。


その中で、一番強く思う人。


この人との約束があるから、俺はこの寂しい世界で生きて行ける。


PBMのプロフィール画面にも書いた一言。















「恵梨香さん、俺達は……いつまでも友達ですからね」














PBMをポケットに入れ、少しずつ崩れ行く、大切な人達が生きた街を見下ろして……俺はそう呟いた。







【おわり】