「あ、あの!あなた達は……一体誰なんですか?」
少年の口から飛び出した言葉に、私達は言葉を失った。
何を冗談を言っているのだろう。
あれだけ一緒にいて、共に戦って……私達は少年の事を覚えているのに、少年は覚えてないって事?
「は、はは……悪い冗談だぞ。約束したじゃないか、私達はずっと……」
と、恵梨香がそこまで言った時、少年が怯えたように恵梨香を押し退けて、慌てて立ち上がったのだ。
「誰だか知らないけど、俺、学校がありますから」
そう言い、私達に背を向けた。
「あいつ、あの街の事を何も覚えてないみたいで。たまにブツブツと独り言を言うんですよね。なんか……高山じゃないみたいな気がして」
一体何がどうなっているのか……三笠少年が、会えばわかると言ったのはこの事だったのかと、わけがわからないまま、少年と恵梨香を交互に見ていた。
「真治……嫌だ!!約束したじゃない!どこにいたって、私達は……私達は!」
少年に忘れられている。
それは、恵梨香にとって、どれほど辛いものなのか、私には想像も出来ない。
だけど……届かないと思われたその言葉が、少年の足を止めて。
振り返った少年が、何かを思い出したかのように引き返して来たのだ。
そして……。
「恵梨香さん、俺達は……」
少年の口から、恵梨香の名前が飛び出した。



