殺戮都市~バベル~

皆、自分の事に必死で、人の事まで気が回らないみたいだ。


俺も、人の事を気にしていられるほどの余裕はないんだけど。


少し視線をそらした隙に、俺の偽者が再び日本刀を振り上げて襲って来た!


「ひっ!」


慌てて、振り下ろされた日本刀から逃げるように横に飛び退く。


すると……。


日本刀を振り下ろした俺の偽者に、大きな隙が生まれている事に気付いた。








あ、今ならやれる。









直感でそう思った俺は、一歩踏み込んで、偽者の腕を目掛けて、日本刀を振り下ろした。


回避する様子もなく、俺の日本刀は偽者の腕を斬り落としたのだ。


「うっ!」


斬った……という感覚なんて何もない。


まるで、空気を斬ったかのような手応えの無さだったけど、その行為に慌てて後ずさりした。


俺の偽者は、腕を斬り落とされ、その状態のまま固まって。


しばらくすると、その身体は大量の小さな黒い粒に変わり、サラサラと空気中に溶けるように消えて行ったのだ。










……なんだ?


か、勝ったのか?


頭の中が、ぐちゃぐちゃに掻き乱されているようで、何を考えて良いかわからない。









「ぎゃあああああっ!」






そんな俺を、我に返らせるような悲鳴が聞こえた。