殺戮都市~バベル~

最初は「そうだったら良いな」程度だった希望が、今ではその希望を多くの人が信じている。


元々は、殺し合いのない場所にいたんだ。


命のやり取りよりも、仲良くする事を望んでいるはずなんだよ。


何があるかわからないから行く。


理由なんて、それだけで良い。


考え込むと湧き上がって来る、どうしようもない不安を掻き消すように、俺は強くそう思うしかなかった。


「少年は……元の世界に戻れたら、どうするんだ?これからの進路とか、将来の夢とか……」


黙って考えて事をしていたら、恵梨香さんがそんな事を尋ねる。


「将来の夢ですか……何も考えてないんですよね。何か……まだ高校生だから実感が湧かないというか」


「時間というものは早く過ぎ去る。今から考えていて、早過ぎるなんて事はないんだぞ?」


「そう……ですか。じゃあ、元の世界に戻ったら、真剣に考えてみる事にします。この街で色んな人に会いましたし、色んな想いに触れましたから。何か見付けられたら良いな」


親に訊かれても、進路なんてろくに考えた事がなくて、「考えておく」と言って逃げていたけど、まさかこの街で、そんな事を考えるとは思わなかったな。