殺戮都市~バベル~

まあ、吹雪さんが一緒でも全然構わないけど。


むしろ、話し相手が出来て気が紛れるかな。


「さあさあ、どこに行くんだい?少年。どこでも付いて行っちゃうよ!あ、でも……お姉さんが魅力的だからって、襲っちゃいけないぞ!」


……結構酔ってるな、この人。


俺がそんな事をしないとわかってて、からかって言ってるのだろう。


いつもよりさらに斜めを行く妙なテンションを、俺は無視するしかなかった。


まあ、行く場所は決めたんだけど。


白い塔に向かって、ぼんやりと歩き続ける。


「あー、スルーしたぁ。はいはい、わかってるよ。少年は恵梨香が好きなんだもんねー。私じゃなくて、恵梨香に誘われたいよね」


「ちょ、ちょっと……何言ってるんですか!別にそんなんじゃ……」


慌てて否定しようとするけど……完全に否定する事が出来ない。


もうわかってるんだよ。


吹雪さんの言う通り、俺は恵梨香さんが好きなんだって。


だけど、死んでしまった理沙の事を考えると、こんな気持ちになるのはどうなんだろうと、ブレーキを掛けてしまう。


だから言えない。


せめて、バベルの塔の頂上に行くまでは。


最優先すべきなのは、それなのだから。