殺戮都市~バベル~

緊張が、俺の心臓を握り潰してしまいそうだ。


ドクンドクンと、今までにないくらい激しく音を立てて、俺を急かす。


「真治君、お待たせ。連れて来たわよ、全軍通信が出来る人を」


演説を前に、ガッチガチに固まっている俺に声を掛けたのは……狩野。


俺が全軍通信が出来ないと知った恵梨香さんが、狩野を使って出来る人間を探して来てくれたのだ。


その人物とは……。


「なになに?明ちゃんと楽しい事出来ると思ったら、また真治君?僕じゃなくてPBMが目当てだったなんて……」


そんな、「身体が目当てだったのね」みたいに言わなくても……。


それにしても、菅を連れてくるなら、あの時に声を掛けておけば二度手間にならなかったんじゃないのか?


あの時はそんな事を考えもいなかったのかな。


「す、す、すみません。お、俺……ぜ、全軍通信出来るほどランキングが高くなくて」


声が震える……まだ演説をしてもいないのに、緊張で押し潰されそうだ。


松田よりも、黒井よりも強い敵は、俺の中にいた。


「ま、明ちゃんの頼みだから仕方ないか。今からそんなガチガチでどうすんの。葵さんは納得しなかったみたいだけどさ……少なくとも僕は、真治君の言葉を信じてみたいと思ったよ」