殺戮都市~バベル~

「さぁ?俺が死んでる間の事なんて、俺が知ってるはずないだろ」


こんな話をしていても、飛び掛かれる隙がない。


ランスに貫かれた恐怖からそう思い込んでいるのか。


「お前は『黒狼』だ!狼が獅子に勝てるわけがないんだよ!」


黒井がそう叫んだ時、狩野の後方……西軍側から、ざわめきが聞こえたのだ。


……川崎達が侵入した方向だけど、こんなに大勢の気配があるのはおかしい。


「黒井の……応援か」


このタイミングで、俺達に圧倒的に不利な状況に陥ったのかよ。


道の向こうから、人の群れがこちらに押し寄せて来る。


「さあ、どうする?もう後がなくなったぞ!戦えよ!戦って俺に殺されろ!」


黒井の言う通り、戦うしかない。


ここで逃げたら、次に同じようにここまで辿り着けるかわからないから。


いや……間違いなく防御を固めて俺達を迎え撃つだろう。


「黒井ぃっ!ここでお前を殺す!」


「良い気迫だ!掛かって来いよ!」


声を上げる事で恐怖を振り払い、黒井に向かって駆け出した。


それを見て、狩野も黒井に駆け寄る。


一歩目で助走を付けて、二歩目でトップスピードに乗る。


日本刀を斜め下に構えて、黒井へと迫った。