殺戮都市~バベル~

「久しぶりだな真治君。会っていきなりだが、謝らなければならない事があるんだ」


名鳥の正面の長椅子に腰を下ろした俺と恵梨香さん。


「……亜美と優の事ですね。狩野から聞きましたし、ポーンになった二人を見ました。仕方なかったんですよね」


それは、どれに対しての仕方なかったなのだろう。


名鳥が亜美と喧嘩をして、家を飛び出した所をポーンに食われた事に対してなのか、それとも、ポーンとして再会した二人を殺した事に対してなのか。


「……俺、こういう空気苦手だから外にいても良い?」


「好きにしろ」


内藤さんの出番はないと思ったのか、自分から外に向かって歩いて行った。


「だが、本当に悪かった。面倒を見ると言っておきながらこんな事になって」


深く頭を下げた名鳥に……俺は何を言えるだろう。


俺が面倒を見られないから頼んだのに。


確かに辛い事だったけど、俺が名鳥に言える事なんて何もないんだ。


「……あの時こうすれば良かったとか、そんな事は考えるな。考えたとしても秘めておけ。死んだ者に対して私達が出来る事は、未来を紡ぐ事しかないのだからな。深く悲しんだら……それで終わりにしろ」


恵梨香さんの言葉は少し冷たく思えたけど、バベルの塔に向かうには、後悔なんて邪魔でしかない。


そう言っているように思えた。