殺戮都市~バベル~

デパートに入り、通路を進んで……理沙が死んだ場所。


恵梨香さんが磔にされていた場所でもあるホールに、名鳥はいた。


「ふんふんふ~ん。ふふふ~ん」


散弾銃を膝の上に置き、タバコを吸いながら鼻歌を歌っている。


香月の姿が見えなくなって、少し落ち着きを取り戻した俺が、その姿を見ても異様だと感じるなんて。


名鳥を知っている人ならわかる。


これは……名鳥のいつもの姿じゃない。


いつもなら、もっとダラダラしていると言うか、気の抜けた感じなはずなのに。


「順一、真治君と恵梨香さんと白鳥が来たわ」


「あぁ、話があるならここで聞く。まあ座れよ」


狩野がそう言っても、こちらを振り向きもせずに、名鳥はタバコを燻らせるだけ。


「……なあ狩野。名鳥さんがこうなったのって、もしかして……」


「えぇ、二人を亡くした事は、順一にとっても耐え難かったみたい」


名鳥に会ったら、殴るかもしれない。


そう思っていたけど。


狩野に話を聞き、名鳥のこの姿を見たら、とてもそんな事は出来ないと思ってしまった。


俺よりもずっと……二人を失った悲しみが大きいんだろうなと感じたから。