殺戮都市~バベル~

こんな所を見られたら、また内藤さんに何を言われるかわからない。


俺は内藤さんを押し出して、ドアにをロックすると、抱きついた恵梨香さんの身体にそっと手を回した。


「少年……少年……やっと少年に会えた」


グスグスと鼻をすすりながら、恵梨香さんは泣いているようで。


今まで一度も見た事がなかった恵梨香さんの姿に、俺はどう声を掛けて良いかわからなかった。


「うおおおいっ!何俺を締め出してんだ!開けろ馬鹿野郎!」


ドアをドンドンと叩く内藤さんなど気にも留めない様子で、恵梨香さんは俺から離れようとしない。


「ずっと……探してたんだぞ。少年がいない間も、塔に向かう仲間を探していた。でも、やっぱり少年がいないとダメなんだ」


抱き締められて、俺がいないとダメとか言われると……勘違いしてしまいそうになる。


あれを言おう、これを言おうと考えていたけど……俺の頭の中に浮かんだ言葉はたった一言。


これを言う場所すらない俺が、唯一言える言葉。








「恵梨香さん……ただいま」







俺には100日以上経ったという実感なんてない。


だけど恵梨香さんは100日以上、俺を待っていてくれた。


俺の居場所は恵梨香さんなんだと、この時思ったから。