「お……兄チャん……大スき……」
小さな声だったけど、今はっきりと聞こえた。
亜美の声だ!
「ほ、ほら!内藤さん!今の聞こえましたよね!?亜美はまだ化け物になっちゃいない!」
内藤さんの言葉で、もう化け物になってしまったのかもしれないと思い始めていた俺は、ギリギリの所で踏み止まれた感じだ。
亜美の声がなかったら、俺は内藤さんを止められなかったかもしれない。
「ほら、亜美……長い間会いに行けなくてごめんよ」
そう言って、俺は日本刀から手を放して優と亜美に近寄った。
腕を広げて、亜美が飛び込んで来ても良いように。
すると、亜美は優から離れて、少し照れたような仕草の後、俺に向かって駆け出した。
見た目はもうほとんどポーンだけど、これは亜美なんだ。
受け入れられない現実を、亜美を抱き締める事で受け入れようとしたのかもしれない。
「お兄チャん……大スき」
「お兄チャん……大スき」
「お兄チャん……大スき」
何度も同じ言葉を繰り返し、俺に飛び込んで来た亜美。
「お兄チャん……大スき!!」
耳元でそう叫んだ直後……亜美はその小さな口を開け、俺の首に思い切り噛み付いたのだ。



