殺戮都市~バベル~

雪子さん達の拠点から出た俺と内藤さんは、北軍に向かう為に北へと進路を取った。


内藤さんはあの場所に残りたいと駄々をこねていたけど……理由が理由だけに、残すわけにはいかない。


「いやあ、やっぱり人助けはしておくべきだな。あれだろ?昔、西軍で助けたレディ達の仲間だろ?はっ!もしかして、俺が死んだ後にあの子達と良い事をしたんじゃないだろうな!」


「……し、してませんよ」


とは言え、雪子さんには何度も抱き付かれているから、内藤さんには言えないな。


シンと静まり返った西軍の街。


キングが倒れてから、弱体化の一途を辿るこの街で、必死に生きている人達がいる。


軍自体が弱くなる一方で、強い人達は生き残って、より強くなっているのだろう。


雪子さんの拠点にいる人達には、絶望や焦りといった物は見えなかった。


そして、もう一人……。


俺と内藤さんが北軍に向かって移動していると、正面のビルの屋上に人影が見えたのだ。


雪子さんから連絡を受けたのだろうか。


近付くにつれ、ライトで照らされたその姿がはっきりと闇の中に浮かび上がった。


「沼沢……」


俺に戦いを挑もうという気配はない。


ただ、じっと俺を見下ろしていた。