殺戮都市~バベル~

何が起こったのかわからないのは、田中だけではなかった。


俺達を取り囲む人達も、呆気に取られたような表情を浮かべて。


「あ、お騒がせしました」


田中が崩れ落ち、俺がペコリと頭を下げると、物凄い歓声が巻き起こったのだ。


「す、すげぇぞ!何なんだよお前!」


「こんなに強いやつが南軍にいたのかよ!!」


「キャー!抱いてーっ!」


な、何だよこの異常な盛り上がり方は。


敵意を向けられるよりは全然マシだけど、いくら何でも盛り上がり過ぎだろ!


「え、あ、し、失礼します!」


目立ちたかったわけじゃないのに、どうしてこうなるんだと、俺は慌ててこの場を立ち去った。


敵軍にいる事が多くて、自軍にほとんどいなかった俺に向けられた歓声。


走りながら考えていたのは、それも悪くないなという事。


もっと他にも考える事はあるだろうけど、何だか嬉しくて。


コンビニまでの足取りは軽やかだった。


そして、辿り着いたコンビニで弁当を買って、目の前の駐車場でそれを食べていた時、誰かが俺に近付いて来たのだ。









「……高山真治だな?」








俺を呼ぶその声に、俺は箸を止めて声の方に目を向けた。