殺戮都市~バベル~

さらに、その先の鞭の部分が、仰け反った俺に容赦なく襲い掛かる!


速すぎて、松田の接近に気付かなかった。


あれは、俺や津堂が使う残像とは違う。


脳を誤認させるとか、そんな騙しのテクニックではない、純粋な速さ。


それを理解したところで、絶望的な状況に陥っている事にも気付く。


もう、鞭が俺の首を斬り裂こうと、轟音を上げて迫っていたのだ。


「く、くそっ!」


この状況で、無傷で回避出来る手段が見えない!


このまま上体を倒しても、首を持って行かれる!


そう判断した俺は、上体を倒しながら左腕を上げた。


この刃の付いた鞭に触れれば、ただでは済まないと分かっているけど、これしか方法が思い浮かばない。


鞘を握った左手で、鞭を下から殴り付ける。


一瞬、鞭の軌道が僅かに上に逸れて、仰け反った上体をかすめるようにして鞭が俺の眼前を通り過ぎた。


床に背中から倒れ、その勢いを殺さないように後転。


鞭を振った松田が、冷たい目を俺に向けて微笑んでいた。


だけど……これはチャンス。


鞭は俺の後方、松田を守る物は何もない!


日本刀をグッと握り締め、歯を食いしばって、俺は日本刀を斜めに振り上げた。