殺戮都市~バベル~

「俺を前にお喋りとは、随分余裕があるようだな。小さな傷を負わせたくらいで、優位に立ったつもりか?」


鞭を振り上げ、それを床に打ち付けた松田が俺達を睨み付ける。


でも、口調とその目は冷静なまま。


沼沢や黒井のような熱いタイプではなさそうだ。


「結局、攻めるしかないってわけだ。じっくり観察してから戦いたかったけど、そうも言ってられないみたいだな」


チラリと俺を見て、名鳥がそう呟いた。


俺が何も考えずに攻撃を仕掛けているから、名鳥も動かざるを得ない……とでも言いたいのか。


「でも、攻撃を仕掛けないと、観察も出来ないでしょ。戦いながら観察してくださいよ!」


「……間違ってないね、それは」


武器を握り締め、俺は、松田を中心に弧を描くように移動を始めた。


いつもならすぐに飛び掛かるところだけど……少しでも隙を突きたいという思いと、右肩の怪我の具合いを確かめる為に。


松田の隙はともかく、腕は動く。


この程度の負傷は、いつもの事だし大した問題じゃない。


後は……気合いと根性。









「どうした?何を考えている?」


「え?」









そんな事を考えていた俺に、いつの間にか接近していた松田。


素早く振り抜いた鞭の柄が俺の頬に直撃し、激しい衝撃と共に、大きく仰け反らせた。