殺戮都市~バベル~

「おいおい、マジかよ。完全に取ったと思ってたのによ。まさかこうも簡単に避けられるとはな」


室内に飛び込んだ名鳥が、床に散らばるガラスを踏み締めて、槍を松田に向ける。


「お前は……名鳥順一。それと……誰だ?挨拶もなくいきなり襲うとは無礼じゃないか」


名鳥、俺と指差して、少し首を傾げた松田。


武器を持っていないなんて考えたのが甘かった。


しっかりと、左手に持っているじゃないか。


俺達がいた場所からだと、松田の右側しか見えなかったから、持っている事に気付かなかった。


これは……俺達の思い込みが生んだミスだ。


「お前を殺しに来たのに、わざわざ『暗殺に来ました』って挨拶に来なきゃならないのか?俺達が束になっても勝てないかもしれないって聞いたから、隙を突いたってのによ」


恵梨香さんが言っていたように、こいつは強い。


気を抜けば……一瞬で身体中の肉が削ぎ落とされるような鋭い感覚が俺を包んでいる。


圧倒的な死の恐怖が、目の前の敵から放たれている。


「隙を突いた……か。あんな見え見えの奇襲で隙を突いたと思っていたのか?あまりにお前達が動かないから、俺がわざと隙を見せてやったというのに。おめでたい暗殺者達だ」