殺戮都市~バベル~

この緊迫した雰囲気の中で食らった蹴りが、胃袋の中の物を逆流させそうになる。


後方に弾かれ、地面を転がりながらも起き上がって、色々と耐えた俺に……鬼気迫る表情の川崎が飛び掛かった。


完全に体勢が整っていない俺に、上空から血を飛び散らせて山羊の角が迫る。


一瞬たりとも迷えない!


迷えば死ぬ!


川崎の気迫は、俺にそう思わせるには十分な物だった。


右手一本でこんな攻撃を受け止めれば、間違いなく押し負けて殺される。


着地点がここならと、右に飛んで武器を構えたその時だった。


川崎の頭部から流れ落ちる血が……左目に入ったのか、着地の瞬間左目を瞑ったのだ。


どう攻めて良いかわからなかった俺に……最大のチャンスが訪れた!


地面を蹴り、川崎に接近した俺は、完全に死角となった左側から日本刀を振るう。


「なめるなっ!そう来るのはわかってるんだよっ!!」


そう叫んで、強引に身体を捻り、シンガータを俺に打ち付けようとする川崎。


だけど……。













そこに、俺はもういなかった。


この相手に気は抜けない。


どんな状況でも、俺の想像の先を行く。


それがわかっていたから、殺意の残像を生んで、俺は川崎のさらに左側に回っていた。