会った瞬間に、
不機嫌そうな顔をしているのは分かった。
「なんで先帰った?」
目をつけられている、
それを教えてもらったことをゆうべきか迷った。
「…えっと」
口ごもると、
「みきのこと?」
「みき?」
頭がはてなだらけになった。
「え?
元カノの話したから嫌になったんじゃないの?」
読みが外れたからなのか、
なにかに安心したように、
翔太の空気が和らいでた
「違う。あの、マナーにしてて、
気づかなかったの」
自然に出た嘘。
同時に元カノの存在が渦巻く。
「まじかー!!まじよかった」
座り込み安堵の様子で、
上目遣いにわたしに
「よかった!」って笑ってみせた
手を伸ばされる
手を出す。
グッて引っ張られ抱きしめられた。
頭をなでられて、
よかった、よかった
って。
なでられていた髪を引っ張られて
キスをされた。
はじめてのキスだった。
唇がふれるだけのキス。
それがあたしのはじめてのキス。