泣くのをこらえて、コクン…と頷きました。
宮守さんは満足そうに微笑んで、そうかそうか…と囁きました。

「…いい友達がいてくれて良かったね。…この絵も大切に保管するから、気が向いた時にいつでも見においで。富さん達が来ることがあったら、嬢ちゃんが来たことを伝えておいてあげよう」

玄関の扉に差してた手紙も渡そう…と約束してくれました。
私は涙を零さないように、お願いします…と何度も頭を下げました。


少し話をしてから外へ出ると、小雪は大きな羽根のような雪に変わってました。

「今夜はホワイトクリスマスになりそうだね」

空を仰いで、宮守さんは呟きます。

昨日、お母さんがケーキを作るのを手伝って…と言ってたのを急に思い出しました。


「……私、帰ります。どうもありがとうございました」

お礼を言って手を振りました。
宮守さんは「またおいで」と、にこやかな笑顔を浮かべてた。


坂道を一気に走って下りました。
鳥居の前で礼をして、階段の上を見ました。


「今度来る時は、神社の絵を持ってきます。だから…タコさん達にまた…会わせて下さい…」


『縁の宮神社』の『えにし』とは、ご縁のことだと宮守さんは言ってました。
いろんな縁を結んでくれる神様だと聞き、「2人と出会ったのも、その御力のおかげだね…」と教えてくれました。


(いいトモダチに出会えて、ホントに幸せです…ありがとうございます…)


心の声を聞き届けたかのように、山から雪が降り注いできます。
その雪を身にまといながら、私は駅に向かって歩き出しました。


いつかまた、あのトモダチ達に会える日が来る…と信じて歩く…

クリスマスの…午後…でした………。




Fin