どこかにトモダチ転がってませんか?

イヤがるキツネさんの顔が浮かびました。
またあの口調で、ガミガミ言われるのかな…と思いながら階段を下り、家に続く坂道を上り始めました。

見慣れた景色が広がってきました。
ゆっくり歩くのがもったいなくなって、最後は走って上りきり、玄関の扉を叩きました。

「こんにちはー!誰かいますかー?」

ドンドン!!と何度か叩きました。
誰も出てくる気配がなく、やっぱり仕事に行ってるのか…と肩を落としました。

「仕方ないよね…急に来たし……」

こんな時の為に…と、短い手紙も持ってきました。
家に帰ってから今日までのことをまとめた、「ほうこくしょ」みたいな感じになりました。

ドアの隙間に挟んで家から離れました。
振り返って、家もカメラに収めました。

坂道の上から見える景色。
海の上に広がるネズミ色の雲のすき間から、何本もの光のスジが降り注いでいます。


初めて見る景色に見とれていました。
スジの色合いが微妙に違ってて、これも絵にしたい…と思ってケータイを取り出しました。

パシャパシャ…と撮ってる私の足元から、誰かが近づいてくるのに気づいたのは、写真を撮りやめた時。
振り向くとそこに、白い着物を着て、水色のハカマをはいた人が立っていました。


「どなたかな…?」

頭のてっぺんに髪の毛がないおじいさんが、私を見て聞きました。
ぱっと見、タコさんに似てる気がして、少し嬉しかったです。