(やったぁ…今日はお味噌汁にネギが入ってるんだぁ…)

大ちゃんと月ちゃんはネギが嫌いです。
でも、お父さんとお母さんと私は、ネギが大好き。
だから、ウチでは交互にネギ無しとネギ有りのお味噌汁を作るんです。

トントントントン…

何かを切るまな板の音が聞こえてきます。
お母さんにしては、やけに上手いなぁ…と思って目を開けました。

柱に、大きな長い時計が掛かっていました。
カチカチ…と、音を立ててます。

見た事のない壁は薄い緑色をしてて、
所々剥がれた部分は、赤茶色をしてます。

壁にはラメのようにキラキラ光る部分があって、パッと見、まぶしいなぁ…と思いました。


目線を下げると、畳が見えました。
テーブルのような黒い足も見えます。

むらさき色のぶ厚いクッションのような物の上に、頭が乗ってるのに気がつきました。
体の向きを変えると、こげ茶色の木の天井。

確か、さっきは青空が見えてたはずです。

(あれぇ…?ここはどこぉ…?)

せっかくいい気持ちで熟睡できる場所を見つけたのに。
どうも、ここは違う場所みたい。

明らかに外ではないし、
見るからに家の中だし…

(どうして、こんな場所にいるんだろう…?もしかして、寝てる間にテレポーテーションでもしたとか…?)

SF映画の見過ぎかなぁ…と思いました。
でも、目の前に白い足が見えて……


「……起きろ」


恐そうな声が聞こえたので、見上げました。