字を正確に書き写してから、お参りしました。

ここに来れて良かった…というお礼と、タコさんやキツネさんに会えたお礼。
お母さんが私のことを少しずつわかろう…としてくれてるお礼と、家族が皆、頑張ってることのお礼。

……これ以上のことを望むのは、「むぼう」なように思いました。
でも、せっかくだから、もう一つだけお願いしました。

(どうか…私の「トモダチ」達が、いつまでも元気でいてくれますように……)

これから向かう家に、タコさんとキツネさんがいてくれたらいいな…と思いました。
頭を深く下げて、お社に背を向けました。


「…あっ!そうだ!」

ポケットからケータイを取り出しました。
あの家出の後、両親が心配して、私に持たせてくれたものです。


「何かあったら、これで連絡しておいで」
「自分1人で決めて行動しないでね」

せっぱ詰まった顔で話す両親のことを思い浮かべました。
殆ど使うこともないからいらないのに…と思ったけど…。

(…やっぱり、あって良かった…)


「しんちく」のお社をカメラに収めることができました。
角度を変え、何枚か撮りました。

(この写真を使って、神社の絵を描こう…)

……そう思いついたからです。

神社を背にして階段の方に向きました。
町の向こうに、冬の海が広がってます。

階段の方へ走りました。
海の写真もそこで一枚撮りました。

「そうだ!これで2人の写真も撮ろう!」