「私は……」

最後に取り残された私は、なかなか言葉が出せませんでした。
大ちゃんと月ちゃんのように、お母さんの味方も弁護もできそうにない気分でした。


「私は……お母さんの期待が重すぎて……毎日…しんどかった……」

話しても分かってもらえるかどうか不安でした。
でも、話さないと分かってもらえない気がしていました。

一度では納得してもらえなくても、少しずつでもいいから、苦しさを分かってもらいたい。

漢字が読めないことが不安なんじゃない。
読めないことで、周りと馴染めないことが苦痛なんだ…ということを。

「学校へ行くのはイヤじゃないけど……クラスの子と話をするのは苦痛……意味の分からない言葉を聞き返すと『そんな事も知らないの?』って顔されて、意味の分からないまま聞き流しても、『ゼッタイ分かってないよね…』と陰口を叩かれる……。そんな毎日を繰り返して、高2になって…自分はどうすればいいのか、何を話せばいいのか分かんなくなった……。皆、私を理解してくれないし、そんな人から見れば、私は「トモダチ」でも何でもない…。クラスの中に居場所さえ無くなって……毎日が苦しくて…辛くて……逃げ出したかった……」

やっとの思いでカウンセラーの吉田先生がいる部屋に飛び込みました。
高い所からジャンプするくらいの…大きな勇気がいりました。

「……お母さんには…話せなかった………トモダチがいないと言ったら…ゼッタイに悲しませると思ったから……」