「休暇は終わりだね……よく休めたかい?」
「はい!とっても!毎日楽しくて、とてもよく眠れました!思いきり絵も描けたし、満足してます!本当にありがとうございました!お世話になりました!」

三つ指ついて…と何かで読んだ通りのことを真似してみました。
頭を下げる私に合わせて、タコさんまでが頭を下げます。

「こちらこそ…お泊まり頂いてありがとうございます!」

2人で顔を上げると、キツネさんが笑いだしました。
その声を聞きながら、私もタコさんも笑いました。
3人で笑ったのは初めてでした。


…最初で最後の……

朝の出来事でしたーーー。





バッグを持って外へ出ました。
青空は高く広がってて、雨が降り出しそうな気配すらありませんでした。

「棟梁…ホントに雨降るんっすか⁉︎ 」

疑り深いキツネさんは、空を見上げながら聞きます。

「間違いない!太陽が傘広げてるから必ず降る!」

声に振り向くと、お日様の周りに雲のような輪が見えました。
ぼんやりと光る雲を指差し、あの輪が傘だと教えてくれました。

「ののかちゃん早くお帰り。雨が降り出す前に、帰り着けるといいね」

どこまで行くのか、どのくらい時間がかかるのか聞いたりしませんでした。
私が無事、家に帰り着くことだけを、祈ってくれてるみたいでした。

「大丈夫です!雨が降っても、折りたたみ傘がありますから!それより2人とも元気でいて下さい。私はトモダチとして、神社が無事完成することを祈ってます!」