タコさんは頷いて、手に持ってた袋の中身を見せるから、中に入ろうと言いました。
後を追うように、ついて行きます。


「…帰ったぞ!」

扉を開けると、中からキツネさんが走って来ました。

「お帰りなさい棟梁!……何ですか⁉︎ …その袋は⁉︎ 」

キツネさんは、タコさんが持ってる袋にすぐに気づきました。

「中身を見せるから、お前もこっちへ来い」

玄関で靴を脱いだ後、3人で食事する部屋に集まりました。
タコさんは袋の中に手を入れ、ガサガサ…と中身を取り出しました。

(わぁ…!)

声を出さずに、息だけ吐きました。
袋の中身は、スケッチブックと絵の具セットでした。

「これは、ののかちゃんにお土産だ。ここにいる間、退屈しないで済むようにと思ってな」

地面に描いてた絵を見て、もっと沢山の絵を描いてみたらどうか…と思ったそうです。

「描いた絵に綺麗な色を塗りたいだろうから、絵の具のセットも買ってきた」

「チッ!」…と、キツネさんの口から音がもれました。

「棟梁…こいつの事、本当にメンドウ見る気でいるんですか⁉︎ 警察にバレたらどうするんです⁉︎ 下手すると、誘拐してると思われるかもしれないですよ⁉︎ 」

キツネさんはビクビクしてるみたい。
でも、タコさんは、ちっともオドオドしていません。

「それはお前で慣れてるから大丈夫だ!」

強くて、ハッキリした言い方でした。