タコさんはそう言うと、お風呂の場所を教えてくれました。

「服を洗濯したかったらしてもいいよ…」

洗濯機の使い方も教えてくれました。


「じゃあ、留守番よろしく」
「なんも盗んなよ!」

キツネさんのいらない一言に、タコさんが頭を叩きます。
ポカン…としたまま、私は2人を玄関先で見送りました。

2人が着てた服は、面白かったです。
沢山のポケットが付いたベスト、裾が膨らんで、絞ってあるズボン。

…何の仕事をしてるのかが気になりました。
だから、2人が帰ってくるのをここで待とう…と決めました。


タコさんが教えてくれたお風呂に行きました。
四角い石ころのような物が、床や壁に敷き詰められていました。
『タイル』と言うのだと、後から教えられました。

お湯は水道をひねるとすぐに出始めました。
『温水器』を使ってるからだと言ってた通りです。

お湯を溜めてる間に、着替えを準備しました。
ずっと着替えれてなかったので、とても嬉しかったです。

洗濯機の中に脱いだ服を入れて、お風呂に入りました。
ベタベタしたカラダは、すぐに気持ちよくなりました。

家でのお風呂を思い出しました。

お風呂はいつも、月ちゃんが準備をしていました。
アイドルを夢見てる月ちゃんは、「自分磨き」を大切にしてます。

月ちゃんの歌のレッスン場と化したお風呂場は、音響効果もバツグンで、いつも大きな声で歌っていました。
AKBだの、モモクロだの、エンドレスで歌い続けます。