石段の上のがらんとした空間を想像しながら上りました。

息が切れてきた頃、到着しました。
昨日は何もなかった空き地の隅に、木材の山が置かれてありました。

人はいません。
木材だけです。

(誰が置いたんだろう…)

不思議な感じがしました。
もしかしたら、神様が自分でお社を建てる為に置いたんだろうか…と思いました。


木材の側に行きました。
爽やかな木の香りがします。
その香りは、さっきの潮の香りとはまた違った感じがします。

「やっぱり海よりこっちの方が落ち着く…」

ベタベタもしません。
葉を揺らす風も優しい。

「気持ちいい…」

昨日、眠くなったのは、ここが心地良かったからだと気づきました。
今も少し眠い感じがしますが、まずは、ご飯を食べてからにしよう。

バッグの中から、アルミホイルの包みを取り出しました。
お節介なタコさんがくれたおむすびです。
トモダチでもないのに、トモダチだと言った人のくれた物。
食べたくないけど、空腹には勝てません。

「いただきまぁす!」

きちんと手を合わせました。
大きなおむすびは、朝ごはんと同じくらいおいしかった。

黄色いお漬物も入っていて、これまたグーでした。

ポリポリ、もぐもぐ。
お腹いっぱい食べました。

食べながら、ウソをついたのはタコさんだけではないな…と反省しました。
私も「家出」を「旅行」と言いました。

お互い様です。
タコさんも私も……