トボトボ…と歩きながら、家を出てきたホントの理由を思い出しました。
さっき、タコさんから何度も確認されたのは、家出だろう…と分かっていたからに違いありません。

『…もしも、何か困った事があったら、この家においで。あんたとワシらは『トモダチ』だから…』

そう言ってくれたのも、私を保護するため。
トモダチでもなんでもない、単なるお節介です。

…ムカムカ…と腹が立ってきました。
トモダチだと思ってもない人から、自分のことをトモダチ扱いされることが何より一番嫌いです。
クラスメートと同じ。
私のことを理解してもいない。


…駅まで戻りました。
電車に乗って、どこか他の場所へ行くことも考えましたが、やめました。

お金があまりない事と、この町が終着駅だと思い出したからです。
終着駅…ということは、先がありません。
戻るしかなくなります。

まだ、戻れません。
私はやっと、自由になったばかりです。

ベタベタする海へはもう行きたくありませんでした。
でも、いろんな道を歩くと迷ってしまいます。

仕方なく、(あそこへ行こう…)と思いました。

「クマの餌食」になるのはイヤだけど、家に戻るよりはマシです。
海から続く真っ直ぐな道を戻り、あのキレイな鳥居の前に立ちました。

鳥居は私の前に、堂々と立っています。
クラスメートと同じ。
威張ってます。


「…フンッ!!」

鼻息を荒くして通り抜けました。