「誰が襲うか。会社の人間なんて面倒なだけだろ」
「まあ、そうでしょうけど。地山さん、火傷してないか見せて。大丈夫?」
半べそ書いていた私に手を伸ばして立たせてくれた紺野さんは、美国笙を手で追い払う。
「ちょっと赤くなってるから、冷やそうか。変えのブラウスとか持ってる? このままじゃ珈琲の染みが取れなくなるわ」
胸元の大きな茶色の染みを見て、眩暈がくらりとした。
そのまま給湯室の冷凍庫から保冷剤を取り出して、ハンカチで巻いてくれた。
ぺこんと頭を下げると、悪いのは美国笙だからと、むこうを睨みつけてくれた。
胸元に当てられて、ちょっとだけ落ちついたけれど、現実はあまり良くない。
「着替えはない、です」
「じゃあ、私のでよければ貸してあげる。もうお昼休憩だし、ご飯のついでに新しい服買っちゃえば? 8階に可愛いスーツやこんなビジネス服置いてあるわよ」
お昼はランチに誘われていたのに、この恰好のままじゃいけない。
スーツを新しくした方がいいのかもしれない。
「そうします。ランチに誘われてるので、急がなきゃ」
「弁償してやる」
私たちの会話に、また美国笙が入って来た。



