けど、ガリガリだし、目やにもあるし。
鳴き方も弱っているように感じた。
どうしよう。このままにして、死んじゃったりしないかな?
おろおろと周りを見ても人の姿は見当たらない。
そのまま、両手の中に大事に抱え込んで立ち上がる。
(家に、――家に連れて帰ろう!)
そう決意を固めると、私はそのまま家の方角へ走った。
「――おい」
後ろから声がして振り返ると、いかにも仕事帰りそうな、けだるげな。
けだるげな、美国笙の姿が見えた。
「お前」
目を細めて私の顔を覗きこもうとしたので、すぐに前を向き直り、ダッシュする。
どやら彼は、私が誰か分かっていないのに、声をかけようとしたらしい。
だったら、誰かバレる前に逃げようと走り出した。



