「詭弁?」
狼君が尋ねると、美国笙立ち上がり、大きく重そうなファイルを抱えて此方へ歩いてくる。
「キミは、犬飼や俺みたいに仕事にプライドを持っているわけじゃないのだから、簡単に言うのは止めて欲しいって意味ですよ」
ギロっと睨まれて、その瞳が余りにも冷たくて私は固まった。
遠くの机で作業していた女の子たちもコソコソと此方の様子を伺っている。
こんなときだけど、この人睫毛も長いなーっとか思っちゃってるけど。
「あの、私は狼君の作品が」
「俺なら、間に合わせるよ。間に合わせた上でクオリティは落とさない。それぐらい常識じゃないかな。此処の部署にいるんだから、それぐらい出来て当たり前だ」
そのまま資料を棚に戻しながら、次の仕事の資料の準備を始めた。
「狼君、ごめんね、なんか私余計なことだったりして」
「全然余計じゃないです。それよりも邪魔しやがってあの野郎」
狼君が何に怒ってるのかはよく分からなかったけど、美国笙はピリピリした様子で私に近づいてくる。
まだ何かあるのかな。



