「私なら、クライアント側にも不備が合ったんだからちょっと期限を伸ばしてもらうなー。だって、やっつけでした仕事って相手に失礼な気もするし、私も楽しくないもん」
「でも、このクライアント、落としたらきっと会社の悪評流しますよ。面倒そうな人だし」
「私は、狼君のクリエイタ―としての質の悪評が流れる方が嫌だよ。
ちょっと休憩して――考えてみよ?」
殺伐とした、締め切りに背中を突かれて仕事する楽しさが私には分からなかった。
だから、ホットミルクを差し出してみたんだ。
血走っていた狼君の目は、光を取り戻してバツが悪そうに視線を落とした。
「ちょっと、心に余裕がなくなってたかも」
そう言って、ホットミルクを受け取ると、隠れた甘い匂いを大きく吸いこむ。
「俺が納得できるかと、どれだけ多くの仕事をこなすかって、相反する事柄ですよね……」



