「だって、――全然か、可愛くないし、自分でもそーゆうの一生縁が無いだろうって放棄していたし」
ゆっくりと私を見を見上げる狼君が言葉を探す。
言葉を探して、少しだけ戸惑っていた。
「俺が先輩を」
「ほら、私は美冬って呼ばなくて先輩なんだもん。紺野さんは下の名前なのに」
ベンチに置いた手を太ももに乗せて、手が白くなるまで強く握り締める。
「私の絵を尊敬しているだけなのに、私がそうやってぐるぐるしているだけなの。だから、知られたくないし。狼君は悪くないのに責めてしまう自分のこの性格が好きじゃない。全然可愛くない」
「……」
狼君は少し考え込むように下を向いた後、黙って立ち上がった。
そして、そのまますぐ私の隣に座る。
「狼君?」
「先輩の、何にも汚されてない世界観は大好きだし、それを守る為なら俺は一生隣に居られると思ってたんだけど」
「い、っしょう?」
「うん。一生。先輩、気づいてなかったでしょ? 俺の尻尾と耳は犬じゃなくてオオカミだってこと」
クスクスと笑うと座っていた距離を縮めてくる。
「でも、今日みたいな日をずっと待って行ったのも本当だし、その機会を逃すわけないのも本当だから」



