狼君の顔色が変わる。
けれど、すぐに上手に犬の様な人懐っこい顔の裏に隠してしまった。
「紺野、結衣さん、ね。ほら、俺、知り合いだし」
こんな現実なら知りたくなかったと思う。
もっとキラキラしてもっとわくわくして、もっとふんわりと甘いものだと思っていた。
26歳でこのぐらいの想像力しかない自分が恥ずかしい。
「そっか。紺野さんの名前って結衣さんって言うんだ。私、名刺よく見てなかったから失礼だった」
「下の名前なんて仕事で殆ど呼ぶこと無いしね」
慌てて取り繕ったつもりなんだろうけど、全く効果はない。
だって紺野さんは平気で狼君を呼び捨てにしたし、――狼君は私を『先輩』としか呼ばない。
もしかして同じ舞台に最初から上がっていなかったのかもしれない。
「あのね、結衣さんに美国部長との間に入って貰って、――ちょっとだけ和解しただけ。それ以上の事は何もないから心配しないでね」
私は上手に今、笑えているだろうか。
上手に、狼君に自分を隠せたのかな。
けれど、すぐに上手に犬の様な人懐っこい顔の裏に隠してしまった。
「紺野、結衣さん、ね。ほら、俺、知り合いだし」
こんな現実なら知りたくなかったと思う。
もっとキラキラしてもっとわくわくして、もっとふんわりと甘いものだと思っていた。
26歳でこのぐらいの想像力しかない自分が恥ずかしい。
「そっか。紺野さんの名前って結衣さんって言うんだ。私、名刺よく見てなかったから失礼だった」
「下の名前なんて仕事で殆ど呼ぶこと無いしね」
慌てて取り繕ったつもりなんだろうけど、全く効果はない。
だって紺野さんは平気で狼君を呼び捨てにしたし、――狼君は私を『先輩』としか呼ばない。
もしかして同じ舞台に最初から上がっていなかったのかもしれない。
「あのね、結衣さんに美国部長との間に入って貰って、――ちょっとだけ和解しただけ。それ以上の事は何もないから心配しないでね」
私は上手に今、笑えているだろうか。
上手に、狼君に自分を隠せたのかな。



