ワンコorオオカミですか!?

「お客さん」

タクシーの運転手さんは、年配の女性だった。
丁寧な喋り方でミラー越しに首をトントンと叩いて笑う。

「駅でその首の痕は目立つと思いますよ」
「首の痕?」

何のことだろう?
薄暗くなったタクシーの中では、目の悪い私にはよく首筋はミラー越しでは見えない。

「あら。そうですか。じゃあ、髪を解いて首を隠した方が良いですよ。見せつけて歩くにはちょっと恥ずかしいでしょうから」

「はあ。ありがとうございます」
よく分からないけれど、言うとおりに髪を解いて肩まで覆い隠す。

もしかして、さっき美国部長の顔が近づいてきた時のアレかな?

咄嗟に身体が動かなかったんだけど、美国部長に首を甘噛みされちゃったんだ。

本当に『摘まみ食い』と称して、食べられちゃうのかと思って冷や冷やしたけど、その後は普通どおりだったのになぁ。